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心身医学の臨床研究

心療内科学の過去、現在、未来

心身医学の臨床研究では、「心身症」を対象として、多岐に渡る検討が求められています。具体的には、消化管運動機能など各疾患別病態の評価、自律神経系や内分泌系など中枢と末梢をつなぐシステムに関する検討、心理社会的因子の検討、心身相関の評価、治療者-患者関係の評価、心身医学的治療の効果の評価などが挙げられます。
 

 特に、心身相関は他分野の研究では見られない、心身医学特有の重要なテーマです。しかし、心身医学の研究には次のような独自の困難性があるために、立ち遅れているのが現状です。

  1. 対象である「心身症」が多様な疾患群であり、研究の対象として扱うことが容易でない。

  2. 一般の医学的検査で評価が困難であり、定量的にとらえにくい事象が多い。

  3. 多要因で複雑な系であり、評価が難しい。

  4. 自覚的(主観的)評価が重要であるが、客観的評価に比べて扱いが難しい。

 

 このような困難性や課題を踏まえ、当科では以下のような疾患において、研究の取組みをしています。解析手法として、一般的な解析に加えて、多変量解析、質的研究、複雑系の手法などを試みています。
 測定については、機能性疾患の病態を捉えるためにいくつかの手法を用いています。上部消化管ビデオ透視、食道内圧pHモニタリング、心拍変動測定、定量的感覚検査、精神生理学的ストレスプロファイル(PSP)、バイオフィードバック、唾液中コルチゾール・アミラーゼなどです。

 

 一方、心理的・認知的状態をとらえる方法として、質問紙や投影法などの心理テスト、WAIS(知能検査)、Visual Analogue Scaleを用いた症状の程度・痛み・辛さなどの主観的スケーリング法などを用いています。
 

 「主観的な情報を客観化した時点でもはや主観でなくなる。しかし、客観化しないと研究にならない。」という本質的なジレンマがあり、心身医学の研究は困難な道ですが、1つ1つ地道に検証していくことが近道と考え、日夜研究を進めています。

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